a small baggage 2

小さな荷物が届いてから、あっという間に一週間。
最近、本当に毎日が飛ぶように過ぎていく。
表札の文字のサンプルを書いてみませんか、というのが
2回目にいただいたメールでした。
最初は戸惑ったし、私なんかの文字で大丈夫なのかなあと思いながらも
まずは私の名前で、ということだったので
何パターンか書き出したら楽しくて。
読めないといけないし、彫れないといけない、ということだけ
頭においていくつか書いて送らせて頂いたのです。
そして数日。
手元に届いた小さな荷物はずしっと重くて、
どきどきしてあけたら、そこには書いた覚えのないのに全くの自分の文字。
書き出しの力を入れるところ、角や跳ね、手が止まったところ、
そんな、多分、息づかい、というものがそのままそこにありました。
どんな風に思って私の文字を選んで下さったのか、実は伺っていません。
どこが気に入って頂けたのか、いくつかあるパターンのどれがお好きなのかも
聞いていません。
なので、どんな風に出来上がるのか想像もつかなかったけれど、
実際に手にして感じるのは、形ではなく勢いや息づかいやリズムのようなものを
もしかしたら気に入って頂いて、それを形にして下さったんじゃないかなあ、ということ。
これもご本人に伺っていないし伝えてないので、私の想像だけなのだけど。
木を選ぶときにいくつかの種類の木目を選ぶように、
布を選ぶときに麻や綿や絹を選ぶように、
憧れていた作家さんが何かを作る素材の一つとして、
私の書く文字を選んでいただいたことを本当に嬉しく思っています。
まだ見ぬどなたかが、まだ見ぬdecor301を訪れて
もしかしたらいくつかのフォントの中から、私の文字が選ばれて
大切な玄関を守る表札の素材の一部になることがあるのかも、
と想像するだけで、わくわくします。
なんにせよ、この私の文字の形をした私の名字の表札は
いくつもいくつもの小さな偶然と、小さなやり取りと、小さな共感が重なって、
私の手元に形になって届いた宝物です。
ほんとうにありがとうございました。