フィルムのカメラが大好きでした。
学生時代はいつもカメラをカバンにいれて歩いていました。
目で見た光景が本当に写せているか不安で、現像代を気にしながら、それでも何枚も何枚も同じ写真を撮っていました。カメラ屋さんからの帰り道は、家に帰るまで待ちきれなくて焼き上がったばかりの写真を見ながら帰ったものです。そこにはまれに、目で見たより美しい光景が映っていて、カメラの中で写真の神様が魔法をかけてくれているんじゃないかと思うほどで、楽しみでたまらなかった。
でも、デジタルカメラになり、現像代を気にしなくてよくなった代わりに、一枚の重みは消え、出来上がった写真を見た時の、あの“!!”はなくなり、写真への思いは少し薄れていきました。
それを再び写真のある毎日に戻してくれたのが Instagramです。
誰が見てくれるのかもわからないまま、今まで使ったこともないiPhoneのカメラで撮った写真をぽつんぽつんとポストしているうちに、顔見知りができ、その中から素晴らしい友達ができ、たくさんの素敵なもの、おいしそうな食べ物、きれいな場所に出会いました。
決して大げさではなく、世界が広がりました。
あんな小さな画面の小さな写真から、私の世界はどんどん広がり、
ついにこの大好きな場所で展覧会を開かせていただけることになりました。
dieciは私の“好き”と“憧れ”が目一杯詰まった場所です。常に素敵なもの、そして新しい世界を見せてくれる、オーナーの田丸さん、堀さんご夫妻は私の師匠です。そんな特別な場所でこんな機会を頂けて、本当に幸せ者です。
個展をさせていただくことが決まった頃は予想もしてなかったのですが、この夏から秋、思いがけず長い療養生活を過ごすことになりました。でもこの個展を開くことが私にとって目標になり、リハビリになりました。田丸さん、堀さん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございます。また、支えてくれた家族、たくさんの友人たち、画面を通して見守って下さった方々、そして本日ここまで足を運んでくださった方々、本当にありがとうございます。
写真を通してたくさんの出会いがありました。
その輪がこれからもどんどん広がりますように。
(会場 挨拶文)

これは2013年11月に大阪天神橋dieci cafeにて開催させて頂いた個展で展示した写真たちです。
写真展がしたい!
その気持ちは強かったものの、実際写真を選び始めたら、かなり悩みました。
そして、昔ほど写真を大切に撮っていないことに気づきました。わざわざ足を運んで見に来て頂くほどのものがあるのか、とも思いました。
あのときの精一杯で写真を選び、パネルを作り、本当にたくさんの方に来て頂き、
お褒めの言葉もいただきましたが、でも、いまだにあれで良かったのかなという気持ちはまだあります。
私にとって“いい写真”とは、撮ったそのときのことを今のことのように思い出せる写真です。雑誌のような、カメラマンのような、うまく撮れた写真はそんなに好きではありません。それなら雑誌やプロの写真のほうがいいから。
もちろん、気持ちのどこかにうまく撮れた写真をいいと思っているとは思うのですが、ぼかした写真や演出した写真はそんなにすきではない。。。と思っています。
今回選んだ写真はどれもそのときのことをはっきりと覚えています。iPhoneだけでなく、フィルムカメラのものやデジカメのものも含まれていますが、その景色を、その様子を見たときの気持ちがよみがえるものばかりです。
”写真を撮るとき、ちょっと時間が止まったように感じることがあります。うまく言えませんが、それはなんでもない自分に戻る瞬間のような気がして、そんなときの写真はいつまでも覚えています。
そしてカレンダーにはそんな写真を無意識に選んでいるようです。私のカレンダーが見る方の心にささやかでも少し静かな一瞬のようなが生まれるものであればいいなあと願っています。”
これは来年のカレンダーの通販分に添えさせて頂いた文章ですが、個展に選んだのもそんな写真たちです。
うまくはないし、プロでもないし、それでも私にとって大切な写真。
もし次があるとすれば、もう少し工夫をしたいと思っています。
自己満足の写真に共感をして頂くのはなく、なにかもっと、わざわざ見て頂けるものを、と。
なので、こんなつたない写真展を見に来て頂いた皆さまにはほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。
ありがとうございました。
優しいメッセージも、かけて頂いたお言葉も、撮って頂いた写真も、タグを見るたびに嬉しくなっています。
本当にありがとうございました。
ame
2013.12.8

ame.

好きな食べ物、好きなもの、好きな場所、ときどき風景。
そんな毎日の写真は、特別ではないけれど、振り返るとどれひとつ同じでなく
ほんの少し成長を発見するための日記のようなもので、
2年半Instagramに記録し続けてきました。
そして自分のためだった写真がたくさんの出会いをもたらしてくれて
一番好きな場所で一番好きな季節に見ていただける機会をもてることとなりました。
おいしいご飯とおいしいお菓子の合間に見ていただけると幸いです。
(DM裏面 挨拶文)